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2024 新年のご挨拶

2024.01.12

インドネシア人材紹介専門エージェンシーCONVI代表の鍋島です。
日頃お世話になっておりますみなさまに新年のお喜びを申し上げます。

  • お見舞い

2024年はウクライナやガザ地区での戦争、能登半島での地震など目をそむけたくなる人間社会の悲しみを抱えてのスタートなりました。受難されている方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、世界がより平和で安全であるように当社も全力で取り組んでまいりたいと決意しております。

  • 近大で講義させていただきました

うれしいことといえば、年始早々に近畿大学国際学部の広瀬教授のご依頼により「ASEAN事情」という授業のゲストスピーカーとしてお話しする機会を得ました。未来を担う若者たちに自分の経験からなにかしら役に立つことをお伝えすることができたかどうか、きっとつながっていくと信じています。

そういえば、近大の広瀬教授はながらくNHKの記者として活躍され、解説委員としてテレビに出演されることも多かったです。ずいぶん前に広瀬さんが登壇されている番組を拝見して記憶に残っていることがあります。

その番組は数名のNHK解説委員が国際情勢について対談するというつくりで、出演者たちは自分の専門の国やテーマに引き寄せて今後の世界を占っておられました。広瀬さんはそんな議論にあまりかまずに沈黙しているなと思っていたら、おもむろに「人間には風の人と土の人がいると思うんですよ…」と、とてつもなく悠長なお話しをされはじめました…

そのお話しを思い出してみると、こんな感じです。

  • 風の人と土の人

地域社会は基本的に土の人が主流です。コミュニティに根をおろし、社会の安定と安全を第一に考え、行動する。しかし人間には風のタイプの人が必ず存在する。その人たちは故郷を出て旅をする。そして帰ってきたときに異国の話しをする。土の人からみれば、それは他人事かもしれません。そんな風の人を排除するのではなく、風の人がもたらす話しにぜひ耳を傾けてほしい。そうすることでコミュニティに新しい情報や価値観が生まれ、社会はより豊かになっていく、と。

この話を聞いて、私にはミュージカルの名作「屋根の上のバイオリン弾き」が思い起こされました。帝政ロシア時代のウクライナで、厳しいユダヤ人差別にたえながら牛乳屋を営む一家のお話しです。ユダヤ人の伝統や民族差別の壁を知ってか知らずか年頃の娘たちが連れてくるあっと驚く結婚したい相手。娘たちの母である妻が怒りくるって反対することが容易に想像される状況で、父である主人公のテヴィエは、娘たちの思いをいかに成就させてやるか、あれこれ画策します。しかしそうして壁をのりこえて実るはずの愛に、差別と弾圧の魔の手が迫ってくる…、そんなお話しです。
若い世代は風の人の声に耳を傾け、現状を変えて幸せになるために行動することができます。しかしことはそう簡単ではない。そんな風と土のせめぎあいとして、広瀬さんの話が屋根の上のバイオリン弾きと重なったと思います。

  • 愛ある社会をめざして

差別と迫害を乗り越えてイスラエルを建国したユダヤの民は、いまや弾圧する側に身を置き闘いの真っただ中にいます。皇帝たちによる過酷な搾取を乗り越えて人類ではじめて社会主義国家建設に挑んだロシアは、いま隣人との民族と国境をめぐる戦争のただなかにいます。ウクライナの現大統領がユダヤ系の人であることも悲しいアイロニーです。テヴィエは屋根の上からこんな状況を見て、「やれやれ」といいながらバイオリンを弾いているのでしょう。

愛ある社会の姿は私たちの心のなかで、芸術や学問としてもとっくにイメージはできています。それを手に入れようとしてもするりと落ち、糸はまたちがったもつれへ。落としても落としても、絶えず拾い続けるしかないと覚悟して、今年も1年、勇気をもって進みたいと思っています。

2024年もどうぞよろしくお願いいたします。

CONVI代表 鍋島祥郎